親会社との価格交渉、AIとロープレしたら勝率が上がると思った話

「原価低減」の要求に対する、論理武装をAIにさせてみた

こんにちは、Liflowの石丸博光です。

中小企業の経営者や個人事業主の皆さん、「原価低減(コストダウン)要請」という言葉を聞いて、胃がキリキリしたことはありませんか?

私はあります。

痛いほどわかります。

私はかつて、自動車部品加工業の下請事業者として、大手自動車メーカーの下請けを約15年間担っていました。

毎年やってくる厳しいコストダウン要求。

断れば仕事がなくなるかもしれない恐怖と、受け入れれば利益が吹き飛ぶ現実の板挟みです。

しかし、私はある交渉術を使って、「売上 ≒ 利益」という究極のビジネスモデルを確立し、過去最高益を叩き出した経験があります。

当時はアナログで必死に情報を集めて論理を構築しましたが、ふと思ったのです。

「もしあの時、生成AIがあったら、もっと楽に、もっと高い勝率で交渉できたのではないか?」と。

今日は、私の実体験に基づいた交渉術と、それを現代の武器「生成AI」で強化する「最強の交渉ロープレ術」についてお話しします。

1. 交渉は「準備」で9割決まる(私の実体験)

まず、私の「勝利の体験談」を少しだけ共有させてください。

下請け時代、私は単なる値下げ要求に対抗するため、「加工用資材を自社仕入れから、親会社からの無償支給に変えてもらう」という交渉を行いました。

なぜこれが通ったのか? 

詳しくは、現在販売中の「ビジネスプラン」に詳述していますが、この「論理武装」を作るのが、本当に孤独で大変な作業だったのです。

2. 生成AIを「鬼の調達担当者」にする

ここで生成AI(ChatGPTやGemini)の出番です。

AIは、あなたがこれから戦う相手、つまり「厳しい親会社の調達担当者」になりきることができます。

本番の交渉で「頭が真っ白」になるのは、想定外の反論が来るからです。

ならば、AI相手に事前に何度も「模擬戦(ロープレ)」を行い、あらゆる反論を出し尽くさせればいいのです。

■ AI交渉ロープレのメリット

  1. 感情的ダメージゼロ:AIになら何度論破されても傷つきません。

  2. 客観的な弱点の発見:自分では気づかない論理の穴(「そのデータ、古くないですか?」など)を指摘してくれます。

  3. Win-Winの提案作成:相手の立場に立った「妥協案」を一緒に考えてくれます。

3. 実践!交渉勝率を上げる「AIプロンプト」

では、具体的にどうAIに指示すればいいのか。私が当時を振り返って作成したプロンプトがこちらです。コピペして使ってみてください。

【プロンプト例】

役割:あなたは大手メーカーの「冷徹で論理的な調達担当者」です。コスト削減が至上命令であり、下請け業者に対して厳しい態度で接します。

状況:私はあなたの会社の下請け業者(部品加工)です。現在、昨今の物価高騰と人件費上昇を理由に、単価の3%アップ、もしくは「加工用資材の有償支給から無償支給への切り替え」を交渉したいと考えています。

依頼:私がこれから交渉の口火を切ります。あなたはそれに対して、最も痛いところを突く「反論」をしてください。その後、私がどう切り返すべきかの「アドバイス」もセットで教えてください。

私の第一声:「〇〇さん、いつもお世話になっております。実は、昨今のエネルギー価格高騰により、自助努力だけでは現状の単価維持が限界に来ておりまして……」

これを入力すると、AIは容赦なく「エネルギー価格の高騰は御社だけでなく、我々も同じです。それを理由にするなら、他社への切り替えも検討せざるを得ません」といった、背筋が凍るような返答をしてきます。

これに対してどう切り返すか? AIに、自社の状況を詳細に書き出し、収集した相手の情報も入力し、Win-Winの関係へ導くロジックを組み立てていくのです。

4. AIは「孤独な経営者」の最強の参謀

交渉とは、相手を打ち負かすことではなく、お互いの利益の着地点(Win-Win)を見つける作業です。

しかし、交渉の席に着くまでは、経営者は常に孤独です。

「本当にこの提案でいいのか?」

「怒らせて契約を切られたらどうしよう」という不安と戦わなければなりません。

そんな時、AIは24時間365日、文句も言わずあなたの「壁打ち相手」になってくれます。

  • 論理の構築

  • 反論のシミュレーション

  • メンタルの安定

これらをAIに任せることで、あなたは自信を持って交渉のテーブルに着くことができます。 

かつて私が数ヶ月かけて準備したことが、今なら数時間で、しかもより高い精度でシミュレーションできる。

これを使わない手はありません。

おわりに

「原価低減」の要求が来たら、まずは深呼吸。

そして、スマホやPCを開いてAIに相談しましょう。 

「ねえ、ちょっと意地悪な担当者の役、やってくれない?」と。

事前の準備と正しい論理があれば、交渉は怖くありません。

あなたの技術やサービスの価値を、安売りしないための「論理武装」を始めましょう。

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そのキャッチコピー、AIなら3秒でした。