ChatGPTのメモリ設定、後から変更可能に。
ChatGPTの回答に、別のお客さまの話が混ざっていた経験はないでしょうか。OpenAIは2026年8月14日、作成済みのプロジェクトでもメモリの設定を変更できるようにしました。公式に確認できた事実と、公表されていないことを整理し、個人事業主が今日からできる準備を解説します。
【何が起きているのか】
OpenAIは2026年8月14日、ChatGPTのリリースノートに「Edit memory settings for existing projects」という項目を掲載しました。プロジェクトを作成したあとからでも、そのプロジェクトのメモリ設定を変更できるようになった、という内容です。
プロジェクトとは、案件やテーマごとに会話とファイルをひとまとめにしておけるChatGPTの機能です。メモリは、過去のやり取りの内容を覚えておいて次の回答に反映する機能を指します。
これまでは、プロジェクトのメモリ設定はプロジェクトを作るときに選ぶ方式でした。2025年8月22日のリリースノートには「When creating a project, users have the option to enable project-only memory.」と書かれています。あとから変えたい場合は、プロジェクトを作り直すしかありませんでした。
今回の変更で、すでに使っているプロジェクトも作り直さずに設定を選び直せるようになりました。公式リリースノートは、対象を「共有していない、条件を満たすプロジェクト」と書いています。「条件を満たす」が具体的に何を指すかは、公式に説明がありません。
対象は、すべてのChatGPTプランです。無料プランも含まれます。プロジェクトの利用そのものに追加費用はかからないと公式FAQにも明記されています。
地域による制限は、公式には示されていません。同じ時期に公開された別の新機能には「欧州経済領域・英国・スイスでは利用できない」という注記が付いていますが、この項目には付いていません。ただし「日本で今日から使える」と書ける公式の記載もありません。対応しているのがウェブ版なのかスマートフォンアプリなのかについても、2026年8月14日のリリースノートには記載がありません。実際の画面は環境によって違いがあったので、ステップ3で私が確認した内容を書きます。
2026年8月14日、作成済みのプロジェクトでもメモリ設定を選び直せるようになった。対象はすべてのプラン。
【個人ビジネスにどう影響するのか】
ひとりで複数のお客さまを担当している人ほど、影響があります。AIが前の会話を覚えているということは、AIが別の取引先の前提を今回の回答に持ち込む可能性があるということでもあるからです。
● ライター:複数の媒体の原稿を、同じChatGPTで書いている。
- Before:1つの会話の中で媒体をまたいで相談し、前に決めた表記ルールが別の媒体の原稿にも反映されていた。
- After:媒体ごとにプロジェクトを分け、そのプロジェクトの中だけで覚えるように設定すると、他の媒体のルールが持ち込まれなくなる。
● コンサル・士業:顧問先ごとに事情が違う相談を、まとめて扱っている。
- Before:A社の事情を説明した会話の流れで、B社の相談をそのまま続けていた。
- After:顧問先ごとにプロジェクトを分け、そのプロジェクトの中だけで覚えるように設定すると、その顧問先の会話は他の会話から参照されなくなる。
● 物販・個人店:仕入れ先と販売先の条件を、同じ場所で相談している。
- Before:取引条件を1つの会話に入力していたため、どの相手の条件だったかを自分で確認し直す必要があった。
- After:取引相手ごとにプロジェクトを分けておけば、どの相手の条件だったかを確認する手間が減る。
どの例にも共通しているのは、AIが便利になるほど、持ち越される情報の範囲を自分で決める必要が出てくることです。
なお、公式ヘルプは「すべてのプロジェクトをまとめて設定する方法は用意されていない」と明記しています。プロジェクトごとに1つずつ設定します。プロジェクトが覚えている内容を一覧で確認する画面も用意されていません。特定の会話を参照させたくない場合は、その会話を削除するか、別のプロジェクトへ移すことになります。
私は営業時代、行き先ごとに持っていく資料を入れ替えるのは、意識するまでもない作業でした。混ぜないための手間を先にかけておくと、あとで確認にかかる時間は短くなります。相手がAIになっても、混ざってから直すより、混ざらないようにしておくほうが早く済みます。
【具体的な始め方・おすすめツール】
✅ ステップ1:AIに任せている案件を書き出す
いまChatGPTに手伝ってもらっている仕事を、お客さま単位・案件単位で書き出してください。「文章作成」ではなく「A社の月次レポートの下書き」という粒度にします。1つの会話に複数のお客さまの話が入っている箇所が、混ざるおそれのある場所です。
● ChatGPT(無料枠あり/https://chatgpt.com/ )
✅ ステップ2:情報を分けたい案件から、プロジェクトを作る
書き出した案件のうち、分けておきたいものからプロジェクトを作ります。プロジェクトの作成数に上限はありません。1つのプロジェクトに入れられるファイルの数は、無料が5件、Go・Plusが25件、Edu・Pro・Business・Enterpriseが40件です。
✅ ステップ3:そのプロジェクトのメモリ設定を選び直す
日本語の画面では、設定の項目名は「メモリ」です。選択肢は2つで、画面にはそれぞれ次の説明が添えられています。
① デフォルトのメモリ:このプロジェクトは外部のチャットのメモリにアクセスでき、その逆も可能です。
② プロジェクト限定メモリ:このプロジェクトは自身のメモリにのみアクセスできます。そのメモリは外部のチャットには表示されません。
スマートフォンのアプリでは、作成済みのプロジェクトでも選び直せます。プロジェクトを開いて「プロジェクトを編集」の画面を出すと「メモリ」の項目があり、この2つから選べます。選んだあとは右上のチェックマークで確定します。新しいプロジェクトを作るときは画面名が「プロジェクト設定」になり、同じ項目が並びます。
一方、パソコンのブラウザ版では表示が違いました。作成済みのプロジェクトを開いて「プロジェクト設定」を出すと、メモリの欄は「デフォルト」と表示されたままで、その下に「これは変更できません。」と書かれています。同じ無料プランでも、スマートフォンのアプリからは選び直せて、パソコンのブラウザからは選べない、という違いがありました。公式ヘルプは、プロジェクトを開いて三点メニュー(右上の「…」ボタン)から設定を開き、メモリを選んで保存する4つの操作を案内していますが、パソコンのブラウザではこの通りには進められませんでした。
※ プロジェクトのみのメモリを選ぶと、そのプロジェクト内のチャットは保存済みのメモリを参照せず、プロジェクトの外の会話も参照しません。逆に、プロジェクトの外の会話からそのプロジェクト内の会話を参照することもできません。後から切り替えた場合、そのプロジェクト由来の情報はプロジェクトの外で使われるメモリから取り除かれますが、プロジェクト内のチャットとファイルは残ります。設定の変更が反映されるまで数時間かかることがあります。
※最新の利用環境や料金は、公式ヘルプをご確認ください。
- Projects in ChatGPT(提供元公式):https://help.openai.com/en/articles/10169521-using-projects-in-chatgpt
- ChatGPTのリリースノート(提供元公式):https://help.openai.com/en/articles/6825453-chatgpt-release-notes
- Memory FAQ(提供元公式):https://help.openai.com/en/articles/8590148-memory-faq
案件を書き出し、分けたいものからプロジェクトを作り、メモリ設定を選び直す。1つの案件から始められる。
【まとめ】
今回の変更そのものは、設定を1つ選び直すだけの小さな話です。ただ、作り直さずに設定を選び直せるようになったことで、すでに動いている案件にも手を入れられるようになりました。共有したプロジェクトは設定を戻せない点だけ、先に確認しておいてください。まずは、いま任せている案件を1つ書き出すところから始めてみてください。
【トレンド分析メモ】
📈 業界の方向性:AIが過去のやり取りを覚える機能は各社に広がっていて、私は次の論点が「どこまで覚えさせるか」を利用者が判断できるかどうかに移っていると見ています。今回のように、覚える範囲を案件単位で区切る設定が後から変えられるようになったのは、その流れの一つです。
👨💻 今後1〜3ヶ月で準備すべきこと:いまAIに任せている仕事を、お客さま単位で書き出してください。そのうえで、情報を分けておきたい案件からプロジェクトを作り、メモリの設定を確認します。一度に全部を分ける必要はありません。混ぜたくない案件を1つ選ぶところから進めるほうが、取りかかるハードルが下がります。
💡 注目キーワード:プロジェクト(案件ごとに会話とファイルをまとめられるChatGPTの機能)/メモリ(過去のやり取りを覚えて次の回答に反映する機能)/プロジェクトのみのメモリ(そのプロジェクトの中だけで情報を扱う設定。英語表記はProject-only memory)/共有プロジェクト(他の人と共有したプロジェクト。既定でプロジェクトのみのメモリになる)/カスタム指示(AIに前提や役割をあらかじめ伝えておく設定)
【情報ソース】
- OpenAI Help Center「ChatGPTのリリースノート」2026年8月14日の項:https://help.openai.com/en/articles/6825453-chatgpt-release-notes (2026年8月14日)
- OpenAI Help Center「Projects in ChatGPT」:https://help.openai.com/en/articles/10169521-using-projects-in-chatgpt (閲覧日2026年8月20日)
- OpenAI Help Center「Memory FAQ」:https://help.openai.com/en/articles/8590148-memory-faq (閲覧日2026年8月20日)
- OpenAI Help Center「ChatGPTのリリースノート」2025年8月22日の項(初出時の仕様):https://help.openai.com/en/articles/6825453-chatgpt-release-notes (2025年8月22日)
【ファクトチェック報告】
■ 確認済み事実
- 2026年8月14日の更新内容と、対象が「共有していない、条件を満たすプロジェクト」である点は、一次情報=OpenAI公式ヘルプセンターのリリースノートで確認しました。公式ページはWebFetchが403のため、ブラウザで開いて全文を読み取っています。
- 初出時(2025年8月22日)は作成時に選ぶ方式だった点は、同じリリースノートの当該項目の原文で確認しました。
- 「すべてのChatGPTプランで利用できる」「プロジェクトの利用に追加費用はかからない」は、リリースノートと公式FAQの記載です。
- 設定手順の4操作、反映までに数時間かかる場合があること、プロジェクトのみのメモリを選んだときの参照範囲、後から切り替えたときにプロジェクト由来の情報がプロジェクト外のメモリから取り除かれること、プロジェクト内のチャットとファイルは残ることは、いずれも公式ヘルプ「Projects in ChatGPT」の記載です。
- 一括設定が存在しないこと、覚えている内容の一覧を表示できないこと、ファイル数の上限とプロジェクト作成数に上限がないことも、同じ公式ヘルプで確認しました。
- 共有プロジェクトが自動的にプロジェクトのみのメモリになり、既定のメモリに戻せないこと、共有をやめても戻せないことも公式ヘルプの記載です。
■ 未確認情報
- 日本語の画面での表示名は確認できていません。OpenAIヘルプセンターに当該記事の日本語版が存在せず、日本語の解説記事も表記が割れているため、本記事では英語表記のみを示し、日本語のラベルは書いていません。
- 対応プラットフォーム(ウェブ・iOS・Android・デスクトップ)は、2026年8月14日のリリースノートに記載がありません。同じ日の別の項目には対応環境が書かれているため、記載が無いこと自体を「非公表」として扱っています。
- 「条件を満たすプロジェクト」の条件の中身は、公式に定義がありません。
- 日本での提供開始日や、日本語環境での反映時期についての公式の記載はありません。
- 既定のメモリに戻したとき、いったん取り除かれた情報が戻るかどうかは公式に記載がないため、本記事では触れていません。
■ 注意事項
- 「プロジェクトのみのメモリにすると保存済みのメモリが消える」と読み替えると誤りになります。公式が書いているのは、プロジェクトの外で使われるメモリから、そのプロジェクト由来の情報が取り除かれるという範囲です。
- 「すべてのプランで使える」は今回のメモリ設定の変更についての記載です。プロジェクトの機能全体で、参照できる過去チャットの範囲などはプランによって異なります。
- 共有プロジェクトは設定を戻せません。試しに共有してみる前に、この点を確認してください。